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人口2,300人の海士町で捕獲!昭和レトロの「たぬきケーキ」

    • 海士町
人口2,300人の海士町で捕獲!昭和レトロの「たぬきケーキ」

皆さまこんにちは!
この記事の担当はたぬきケーキを愛してやまない、海士歴1年の角谷です!

隠岐4島の1つである中ノ島〈海士町〉では約2,300人の島民が暮らしています。スーパーも薬局もない、もちろんコンビニもないこの島で唯一のパン屋さん、「お土産と手仕事のお店 つなかけ」で「たぬきケーキ」が “捕獲” されました!

取材・角谷 穂乃香
海士町在住。大阪府出身。2020年に京都嵯峨美術大学を卒業後、(株)隠岐桜風舎に就職。もともとたぬきケーキが好きだったので島でたぬきケーキを発見し大歓喜。
≫隠岐桜風舎公式サイト

取材・角谷 穂乃香
海士町在住。大阪府出身。2020年に京都嵯峨美術大学を卒業後、(株)隠岐桜風舎に就職。もともとたぬきケーキが好きだったので島でたぬきケーキを発見し大歓喜。
≫隠岐桜風舎公式サイト新しいタブで開きます

「たぬきケーキ」とは一体……

たぬきケーキとは、昭和40年代~50年代ごろに流行した “たぬき” を模したケーキのことです。土台となるスポンジケーキの上にバタークリームを絞り、チョコレートでコーティングしたものが一般的で全国にはさまざまな形のたぬきケーキが存在しています。

ロールケーキ、カップケーキ、三角カットケーキなどなど!


流行時は「どのケーキ屋にもあった」と言われるほどで、多くの人に愛されたたぬきケーキでしたが、残念ながら年々その数を減らしているのです…。
高価だった生クリームが時代とともに広く普及し、バタークリーム商品が減ってしまったことや、当時活躍していた町の菓子店がコンビニの増店や後継ぎがいないことが原因で惜しまれつつも閉店してしまったりと、その理由はさまざま…。
が、しかし!
近年の「レトロブーム」で昭和の “懐かしい” ものが  “カワイイ” と若者の間で注目されています!

全国にファンがいる

ある時たぬきケーキがテレビ番組で紹介されレトロ好きの人たちの目にとまり、たぬきケーキ人気に再火がつきました!
全国のたぬきケーキファンたちは、稀少なたぬきケーキをつくる菓子店を巡ったり、通販などでたぬきケーキを捕獲しています。
そういえば、ファンの間では購入することを “捕獲” と言うようです。
皆さんもたぬきケーキを購入する際はぜひ使ってみてくださいね!

お土産と手仕事のお店 つなかけ

そんな密かにファンを持つたぬきケーキを製造しているのは島のパン屋
「お土産と手仕事のお店 つなかけ」というお店です。

お土産と手仕事のお店 つなかけ 外観 ピンクののれんが目印!


つなかけは海士町中里地区にあり、隠岐神社の大鳥居から徒歩2分ほどの場所に位置しています。島で唯一のパン屋さん「ときわベーカリー」、菓子店「常盤堂製菓舗」の商品を継承し、ときわベーカリーの店主である山中さんから製造技法を教わりながら島のパンや伝統銘菓「白浪」の味を守っています。

海士町の伝統銘菓「白浪」。木型でひとつひとつ手作りしています。


お店ではパンや土産物の他に、島の作家のハンドメイド雑貨も並んでいます!

お土産と手仕事のお店 つなかけ 内観 水色のタイルがかわいい!


つなかけ内にある工房では毎日色んな種類のパンや菓子商品が焼き上げられているのでとってもいい香りがするんです〜!

懐かしい島のパン!昔から変わらないレトロなパッケージに惹かれます。


焼きたてのパンを買いに来た島民同士が世間話をしていたり、若者たちが昼食を求めて来店したりと、明るい店内は島民のちょっとした交流の場にもなっています。私も最近は週3でつなかけのパンを買いに行っているほどの常連客です…。

ドーナツも作っています。香ばしい香りがしてきそう〜。


海士町の特産品「ふくぎ茶」を使ったハードパンは観光客にも人気の商品!


2021年7月にリニューアルオープンしたホテル「Entô」の朝食にもつなかけのパンが使用されています。


つなかけのたぬきケーキ

それでは皆さまお待ちかね、つなかけに生息するたぬきケーキをときわベーカリーの店主である山中さんとのQ&Aを交えながらご紹介していきます!

Q.角「ところで山中さんはいつからたぬきケーキを作り始めたんですか?」
A.山「東京でのパンの修行を終えて島に帰ってきたのが25、26才の時で、そこからしばらくして作り始めたかなぁ。大体45年前くらい?」

海士町にたぬきケーキが誕生したのは昭和52年頃だそう…。ちょうどたぬきケーキが流行していた時代です。その頃の海士町はまだ洋菓子が出回っておらず、本当にウケるのだろうかという気持ちもあったようですが、山中さんの「島のみんなにおいしいものを食べさせてやりたい」という気持ちから、パンやケーキ商品が作られるようになったのだとか。

三角カットケーキ


四角カットケーキ


ホールケーキ型


Q.角「つなかけのたぬきの特徴として中に栗が入っていることが挙げられると思うのですが、全国でも栗入りのたぬきは珍しいですよね?」
A.山「そうだね。でも最初は栗は使っていなくて、バタークリームだけだったんだよ。食べ物が少なかった海士町で “味より量” を重視していたお客さんが、次第に味や上品さを求め始めて、それがきっかけで栗を入れ始めたんだ」


Q.角「それにしても、なんで栗なんですか?」
A.山「ケーキを製造していた秋〜春にかけてちょうど栗がよく出回るようになったからだね」

なるほど。
私が気になっていた栗の謎が解明されました。笑
ちなみに生クリームが普及してもなおバタークリームを使い続ける理由は、クリスマスや誕生日にバタークリームのホールケーキを注文する根強いファンがいるからだそうです。

何を作るにしても、そこには島民に喜んでもらうことを一番に考える、田舎らしさを大事にする山中さんらしい考えがあるんですね。

今は大手の菓子店はたくさんありますし海外の菓子商品もすぐに手に入る時代ですが、昔から多くの家庭を支えてきた町の菓子店はとても大事な存在です。
コンビニもいいですが、たまには地元の菓子店を覗いてみたいものですね。

つなかけのたぬきケーキも皆さまの来島をお待ちしています!
ぜひ “捕獲” しに来てくださいね!



ちなみに、つなかけでは毎月10箱限定でパンの通販をしています。
詳細はオンラインショップよりご覧いただけます。
パンやホールケーキのご予約も承っておりますので、たぬきケーキを“捕獲”しに来島する際は事前にご予約くださいませ〜!

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