特集

  • 文化・祭り

800年を超える伝統。人情から始まる牛と人の熱き魂”隠岐牛突き”

    • 隠岐の島町
800年を超える伝統。人情から始まる牛と人の熱き魂”隠岐牛突き”

隠岐の島町で今なお受け継がれてきている隠岐牛突き。
そんな全国でも珍しい伝統の成り立ちから現在をご紹介いたします。

目次

  1. 後鳥羽上皇のご配流
  2. 綱取り
  3. 突き牛とは
  4. 突き牛のお世話
  5. 本場所大会
  6. 各牛突きのスケジュール

後鳥羽上皇のご配流

隠岐牛突きは“後鳥羽上皇”無くしては語ることが出来ません。

1221年「承久の乱」に敗れた後鳥羽上皇は都を追われ、隠岐諸島の1島、海士町へご配流の身となり、傷心の隠岐暮らしを行っておられました。
そんな時、たまたま牧畑で見かけた元気な子牛達が角を突き合わせ戯れている姿を大変興味深くご覧になられ、それを見ていた里人達が上皇をお慰めしようと、島の雄牛を集め闘わせたのが、隠岐牛突きの発祥と云われております。

それから、海士町に限らず隠岐の島町はもちろん隠岐全島にて隠岐牛突きが伝承し、各島で行われてきました。
その後、社会の発展による農耕牛の減少や、畜産牛の拡大により、現在は隠岐の島町だけに受け継がれてきている由緒ある伝統となっております。海士町での牛突きの様子

 

綱取り

隠岐牛突きには、牛の鼻に付けた【鼻綱】を持ち、牛を横で鼓舞・リードする「綱取り」と呼ばれる役があります。この綱取りが付くのは全国を見ても隠岐牛突きだけです。

なぜ、隠岐牛突きには「綱取り」役が存在するのか。
その鍵を握るのも前述した“後鳥羽上皇”が大きく関係しております。
牛同士の突き合いは見ての如く、大変危険です。そんな牛がご覧になれている後鳥羽上皇に危害を加えないよう綱取り文化が始まっていると云われております。

その他にも、大切に育ててきた愛牛をなるべく傷つけず成長させるためや、対戦中、牛を鼓舞・リードし本来の力を発揮させるため等の理由から今でも綱取り役があり、隠岐牛突きにとって非常に重要な役割を担っております。

突き牛とは

突き牛の体重は、前頭(引分戦を行うような比較的若い牛)までの牛は約400~900kg、関脇、大関、横綱の勝負を突ける重鎮クラスの牛になると約900kg~1,000kgを超すほどの巨牛となります。

突き牛としての寿命は大体6歳ごろまでで、基本的には実力が同じような相手牛との稽古を行いながら成長し、勝負戦にて勝つか負けるか生死を掛けた戦いに臨むのであります。

突き牛のお世話

突き牛を飼育するとまず、鼻綱を付けるため、牛の鼻の裏側に2センチほどの穴を開けます。その後、角の先端にキリを使い、穴を開け左右の角を針金などで結び、牛突きで有利になる内側に綺麗に曲がった角を作ります。角の形は牛主(突き牛を飼育している方)それぞれの好みがあるため、突き牛それぞれ違った角が完成します。

また、成長していくと、強い牛を目指して日々の散歩や、急な坂道を上り下りするトレーニング、山肌に角を突き立て角を鍛える【角堀り】というトレーニングを積み、
【地取り】と呼ばれる練習試合を何度も行い、日ごろの愛牛のケアも欠かしません。
突き牛・牛主が一体となり本場所大会に向け、鍛錬を積むのです。

本場所大会

本場所大会は年3回隠岐の島町内の各所で行われ、まず出場牛の土俵入りから始まります。

土俵入りでは、開催地によって座元(地元の突き牛)・寄方(地元以外の突き牛)に分かれ、座元牛から土俵入りを行います。各突き牛の塩振り役(通る道を清めるため塩を振る役)の後を突き牛、のぼり旗を持ったヒイキの人達が続き、芝切り戦(初戦)を戦う牛から順に横綱牛までが土俵入りします。


土俵入りの際は《相撲甚句》と呼ばれる独特の囃子をそれぞれの突き牛ヒイキが唄います。相撲甚句は、隠岐古典相撲に由来し、隠岐の島町のイベントごとには欠かせない囃子です。

《相撲甚句》

相撲はヨー 神代に 始まりましてヨー (ハードスコイドスコイ)
今じゃヨー 日本の 国技となりてヨー (ハードスコイドスコイ)

相撲はヨー 土俵入り 大巾かけてヨー (ハードスコイドスコイ)
踊るヨー 若い衆に 女子が惚れるヨー (ハードスコイドスコイ)

相撲はヨー 皆済み 相撲とりゃ帰るヨー (ハードスコイドスコイ)
後にヨー 残るのは 三重土俵ばかりヨー (ハードスコイドスコイ)

土俵入りが全て終わると、いよいよ牛突きが始まります。

番付は、芝切・前頭・関脇・大関・横綱に分かれており、番付の低い芝切戦から順に取り組みが行われます。芝切戦、前頭戦が終わると、勝負をつける関脇戦、大関戦、横綱戦が始まります。牛突きの最中には、各牛の関係者も固唾を飲んで見守ります。


体重は1,000kgを超えるような巨体が土俵内を駆け回り相手牛に立ち向かう姿は息をのむ迫力で圧倒されます。

大熱戦の結果、勝利した突き牛には、関係者やヒイキの人達が群がり、勝利牛の背中に飛び乗り「ほいさっ!ほいさっ!」と荒々しい祝福を行います。

本場所大会は隠岐牛突き関係者のみならず、島民や観戦した方全てが熱狂する隠岐の島町の熱く盛り上がる大会です。

各牛突きのスケジュール

〇夏場所大会
開催日…8月15日
開催場所…隠岐モーモードーム[MAP]新しいタブで開きます
アクセス…西郷港より車で約10分
駐車場…あり(無料)
料金…大人:1,000円(中学生以下無料)
お問合せ…隠岐の島町観光協会(08512-2-0787)〇八朔奉納牛突き大会
開催日…毎年9月上旬の日曜日
開催場所…佐山牛突き場[MAP]新しいタブで開きます
アクセス…西郷港より車で約40分
駐車場…限りあり(無料)※乗り合わせ推奨
料金…無料
お問合せ…隠岐の島町役場商工観光課(08512-2-8575)〇一夜嶽奉納牛突き大会
開催日…毎年10月中旬の日曜日
開催場所…一夜嶽牛突き場[MAP]新しいタブで開きます
アクセス…西郷港より車で約40分
駐車場…限りあり(無料)※乗り合わせ推奨
料金…無料
お問合せ…隠岐の島町役場商工観光課(08512-2-8575)

本場所大会の他、全天候型闘牛ドームである、隠岐モーモードームにて【観光牛突き】も開催しております。観光牛突きスケジュールについては下記リンク[観光牛突きスケジュール]より、詳細をご確認ください。

〇観光牛突き
開催日…不定期開催(詳細は右リンクよりご確認ください→観光牛突きスケジュール
開催場所…隠岐モーモードーム[MAP]新しいタブで開きます
アクセス…西郷港より車で約10分
駐車場…あり(無料)
料金…大人(中学生以上):1,500円、小人(小学生以下):750円
お問合せ…隠岐の島町観光協会(08512-2-0787)

 

隠岐の島町が誇る熱き伝統、隠岐牛突きを是非ご覧ください。